1/お誘いを受けて

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 勿論お国柄によって諸説あったりするんだろうけど、俺は比較的有名な一説を教えてあげた。  すると小型ドラゴンの姿をしていた鳳炎が、人型となって会話に参戦する。 「私達の母世界では、精霊祭に当たりますね。死者も生者も関係無く。実りの収穫に感謝するお祭りがあるんです」 「じゃあウォーターは、そっちの意味合いでハロウィンするのかな?」 「住んでいる国柄によって雰囲気が違うので、確認を取った方がいいと思いますよ。御主人、ホラーが苦手でしょうし」 「あぁうん。ホラー形式だったら辞退しようかな」  日本育ちだからと言う訳ではなく。  生理的にホラー類が苦手な俺は、ふと血まみれの仮装を思い出してテンション低めに言った。 「フレム、怖がりなんだね」 「グレイはそういうの大丈夫なの?」 「本物じゃなければね」 「俺、多分グーパンするわ」  ふと幼い時、学校行事で保護者がお化け屋敷を行った時の出来事を思い出して言った。  血の気が多いのか、ある一定の危機感を覚えると手が出るらしく。あの頃は、まだ幼かったから良かったものの。現状でやったら傷害事件もいいところだ。 「そう言うところは、記憶とは無関係のようですね」 「という事は、昔のフレムも怖がりだったんだ」 「えぇ。やる時はやって、カッコいいんですけどね。怖い話やホラー映像を見た後は、決まって独りになりたがらなかったぐらいですよ」  グレイの質問に嬉しそうに話す鳳炎。  昔の俺が普段どんな感じだったのかは知らないけど、頼りにされて満更でもない様子が目に浮かんだ。 「じゃあ俺の事を知ってるウォームやウェイクは、言わなくても苦手なもん知ってたりするのかな?」 「御主人のですか? そうですね……。ウェイクさんは分かりかねますが、ウォームさんは知ってるはずですよ。昔立ちはだかったゾンビを問答無用で消し炭にした御主人の勇姿を見てますから」  ーーそれ、勇姿っていうのかな?  にこやかに語ってくれたけど、炎の民の血を引くウォームの目の前で消し炭って……。  そんなこと今でも覚えているとしたら、軽いトラウマになってるだけのような気がしてならないんだけど……。考え過ぎだろうか?  チラッとグレイの反応を確認したら、夢見る少年の如く尊敬の眼差しを頂きましたけどね。  ーー絶対誤った反応だと思う。
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