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2/迎え入れの準備に
ーーそして、ハロウィン当日。
お茶会の会場となるセイクの施設に一番乗りしたのは、ウォームとストームだった。
しかもハロウィン仮装はせず普段着である。
「ごめんね、セイク。前もって声をかけてくれたのに、準備出来なくて」
「仕方ありませんわ。仕事帰りなんですもの。ストームもお疲れ様でございます」
「今日を楽しみにしとったんや」
「フレム達はまだなの?」
「間も無く到着するとの連絡は入りましたけど、ウォーターが張り切ってるところからして。到着しても、暫くお待たせしてしまうと思うわ」
「なんや、フレム。ウォーターに頼んで仮装するんか。楽しみやな♪」
「だったら尚更、僕達も仮装すれば良かったね」
話を聞いて、申し訳なく身なりを気にするウォーム。一方ストームは、人差し指を立てて数回舌打ちをすると、得意気に持っていた紙袋を披露する。
「別に仮装せんでも、これを被るだけでハロウィン気分やで。ウォームの分も買ってきたんやで」
「買ってきた?」
ハロウィンというイベントがないはずの世界で、ストームが買ってきたという代物に検討が付かず、首を傾げてオウム返しするウォームだがーー
「どうや! 完璧やろ☆」
自慢気に紙袋から取り出したゾンビのマスクを見て、思わず品物を叩き落とした。
「ウォーム?」
「はっ! ご、ごめん。違うんだ。ちょっ、ちょっとトラウマがあってね。思わず手が出ちゃって。ーーて言うか、ストーム。フレムに嫌われたくないのなら、止めといた方がいいよ」
セイクの呼び掛けに我に返ったウォームは、間の抜けた表情を浮かべていたストームに忠告した。
「なんや、フレム怖がりなんか?」
「まぁ単なる怖がりならいいんだけどね。苦手なモノは消し炭にするから、気をつけた方がいいよ」
「前例があるんか?」
「まあね」
ウォームは、視線を横に流して返答。
しかも苦笑する余裕すら無いことから嫌な予感を察したストームは、落とした品物を紙袋の中へと隠した。
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