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第2話 古谷 瞬の尻尾切り
古谷 瞬は定職にも就かず、25歳にして無職だった。生活費は彼女から無心した金頼りという、生粋のヒモであった。
昼頃に起床すればパチンコ屋とゲームセンターを往復する毎日。だが人生に何の希望も持たない古谷にとっては、今の生活は何の不満もないものだった。
「クッソ! 今週だけで7万飲まれてやがる……あのクソ台、2度と座らねぇからな」
安アパートの階段を苛立ちながら昇る古谷。今日も開店からパチンコを打っていたのだが、軍資金が尽き仕方なく自宅へ引き返してきたのだ。
金が無ければパチンコは打てない。古谷は家にいる彼女から金を借りて、昼食を済ませてから再びパチンコ屋に戻るつもりだった。
「おい佑香! いねーのか?! 金ねぇから戻って来たんだよ、とりあえず5万……」
玄関に入った途端に彼女を呼びつける。古谷には彼女に対して愛情などない。ただ金ヅル、性欲を満たすだけの道具としか認識していなかった。
「あー……あの女、今日は仕事だっけか……使えねー、もう今日は打てねぇな……」
文句を言いながら古谷は部屋へ上がり込む。とりあえず彼女が戻ってくるまで昼飯と共に酒でも飲みながら待とうと思ったからだ。
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