A:4人

1/18
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ

A:4人

「俺、今日から“さくら”になる!」 強い決意を表した瞳は、まっすぐにディスプレイを睨みつけていた。 桜蔵(さくら)が“桜蔵”になった日を、二人は、忘れることはできなかった。 (アキ)と桜蔵を繋げたのは、(けい)だった。 珪と(アキ)は、かつて国際警備捜査機構に所属していて、システム関連の業務に携わっていた。そこでの出会いだった。 そして、サクラを、桜蔵(さくら)と珪のところへ連れてきたのは、(アキ)だった。サクラと(あき)とは、昔からの親友だった。 「桜蔵、史那(シナ)先生からMail来た」 「えー?なにぃ?」 今は訪問者のいないこの家に、(アキ)やサクラが来ていた頃は、随分と賑やかだった。 「招待状。月末にBirthday Partyだってさ」 「Birthday……あ!」 「一応、聞くけど、行く?」 「行くー!そーだ。珪ちゃんは、何ほしい?」 数年前までは別の名前を持っていた桜蔵が、今のように笑っていた。 「なんで、俺?俺のためのPartyじゃないだろ」 「えー?だって、サクと珪ちゃんの誕生日、2日しか違わないし。何ほしい?」 「ん~、翠晶堂(すいしょうどう)のイチゴ大福」 「え?!それ、早く起きて並ばなきゃ買えないヤツじゃん!」 昔の桜蔵は、1人で、徹夜をして買いに行っていた。今は、珪が彼を起こして2人で買いに行く。 「桜蔵が早起きすんのが見たい」 「そこなのー?それ、イチゴ大福じゃなくてよくない?」 「誕生日には、イチゴが付き物だって言ったの、お前だろ?」
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!