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「俺、今日から“さくら”になる!」
強い決意を表した瞳は、まっすぐにディスプレイを睨みつけていた。
桜蔵が“桜蔵”になった日を、二人は、忘れることはできなかった。
哲と桜蔵を繋げたのは、珪だった。
珪と哲は、かつて国際警備捜査機構に所属していて、システム関連の業務に携わっていた。そこでの出会いだった。
そして、サクラを、桜蔵と珪のところへ連れてきたのは、哲だった。サクラと哲とは、昔からの親友だった。
「桜蔵、史那先生からMail来た」
「えー?なにぃ?」
今は訪問者のいないこの家に、哲やサクラが来ていた頃は、随分と賑やかだった。
「招待状。月末にBirthday Partyだってさ」
「Birthday……あ!」
「一応、聞くけど、行く?」
「行くー!そーだ。珪ちゃんは、何ほしい?」
数年前までは別の名前を持っていた桜蔵が、今のように笑っていた。
「なんで、俺?俺のためのPartyじゃないだろ」
「えー?だって、サクと珪ちゃんの誕生日、2日しか違わないし。何ほしい?」
「ん~、翠晶堂のイチゴ大福」
「え?!それ、早く起きて並ばなきゃ買えないヤツじゃん!」
昔の桜蔵は、1人で、徹夜をして買いに行っていた。今は、珪が彼を起こして2人で買いに行く。
「桜蔵が早起きすんのが見たい」
「そこなのー?それ、イチゴ大福じゃなくてよくない?」
「誕生日には、イチゴが付き物だって言ったの、お前だろ?」
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