第二の性

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side蒼 ちょうど7:40。時間ぴったりに、いつものようにチャイムが鳴る。 「いってきます」 両親に挨拶して、門の前で待っている一縷の元へ駆け出した。 「おはよ、いち」「あぁ、おはよう。あお」 いつものように他愛もない話をしながら学校への道を歩いて行く。 いつもならちゃんと相槌をくれる一縷なのに、今日に限っては心ここにあらずって感じ。何か考えているようだ。表情がすごく険しい。 「いち、大丈夫?すごい苦しそうな顔してるよ?」 たまらず聞いてみたら、一縷は無理矢理作りましたって笑顔で「何でもない。ごめんな」と言う。 そんなこと言われたら、僕はこれ以上踏み込めないじゃないか。 学校に到着し、昇降口で靴を履き替え、それぞれの教室へ向かう。 クラスが違うから一縷がどんな様子なのか全然分からない。 一縷のクラスの子に、今日の一縷の様子をそれとなく聞いてみたけど、いつもと変わりなかったって言われた。 でも、朝のすごく険しい顔は絶対何かに悩んでいて、思い詰めてる証拠。 伊達に幼稚園から付き合ってきてない。 だけど、いつも吹っ切れたように一縷から話してくれるから僕は待つことにする。 一縷が僕に内緒にしてることなんて何もないはずだから。 僕はそれだけ一縷を信じてるんだ。
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