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予め一縷から週末再度訪問すると言われてたので、朝から家で待機していた。
チャイムが鳴る。家族で一縷を迎えた。すると、一縷も家族で来ていた。確かにあの話は子供だけでしていい話ではない。
一縷は朝早くから訪問したことへの謝罪とこの間僕らが話し合って決めたことを?い摘んで説明した。重い沈黙が続く。
沈黙を破ったのは、母だった。高一の夏休みあたりから薄々は気付いていたとのこと。一縷の母君も、同じくらいの時期に気付いていたらしい。やっぱり母って偉大なんだな。
再判定するにあたって、二人でバイトしたいので許可をもらいたい。一縷が頭を下げたタイミングで僕も「お願いします」と頭を下げた。再び訪れる重い沈黙。
『やりたいようにやりなさい』
父が許可を出した。まさか許可がこんなにあっさりもらえると思わなかったので驚いた。
許可がもらえたが、条件がついてきた。
父の会社の雑務がバイト内容。シフトは必ず二人一緒に組むこと。バイト先からの往復も一縷が僕を送迎すること。
一縷は父から提示された条件を受け入れることを伝えると、『蒼のことを、よろしく頼みます』と両親揃って頭を下げた。僕も一緒に頭を下げる。
「ご期待に沿えるよう、がんばります」と一縷はすごく頼もしい言葉を言ってくれた。
両親に挨拶を済ませ、一縷一家は帰宅した。
初めてのバイトはすごく楽しみだ。しかも、一縷と一緒だから余計に楽しみなのかもしれない。なるべく一縷の負担にならないように自分でできることは精一杯やろうと心に誓った。
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