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バイトを始めて3ヵ月。やっと軍資金が貯まった。
判定には遺伝子情報が必要で、血液でも唾液でも遺伝子情報が含まれる物なら何でもよかった。
俺たちは頬の内側の口腔内粘膜を提出した。
血液の場合、俺も蒼も痛いのは嫌いなので却下。唾液の場合、蒼の唾液は俺が欲しいくらいなのに、判定とはいえ差し出すことは躊躇われた。なので、かなり譲歩した結果が頬の内側の口腔内粘膜なのだ。
提出して2週間後判定結果が送られてきた。
再び蒼の家で両家一家勢揃いし、結果の封筒を開けた。
結論から言って、俺がαで、蒼がΩだった。
予想した通りだった。
俺は結果が出るまでの2週間で調べられることは調べた。
俺たちみたいにβ判定からα又はΩに判定が覆ることがあるようだ。ごく稀に発生するらしい。あまり症例として発表されていないので細かいところまでは分からなかった。
結果に俺は納得したが、蒼はそうではなかったようだ。
真っ青な顔をして固まっている。
余程ショックだったみたいだ。
蒼のご両親に「すみません、あおと二人で話させてください」と断りを入れ、蒼の部屋へ二人で行った。
部屋に着き、蒼を座らせて、俺は蒼の顔を覗き込んだ。
「あお、大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
「でも顔真っ青だぞ?」
「そう?」
「結果がショックだったんだろう?」
「...!やっぱりいちには敵わないなぁ」
「あおはすぐに顔に出るからな」
「...もう僕、いちの隣にいられないね。いつ来るか分からない発情期が来た時、いちに迷惑がかかっちゃう」
「誰がそんなこと言った?」
「僕がそう思った」
「あおが俺から離れたいなら、そうすればいい。だけど、これだけは言わせてくれ。あおがΩだとしても、あおはあおだ」
蒼は泣いた。ボロボロと大粒の涙をこぼした。泣き顔を見せたくない蒼は下を向こうとした。それを俺は両頬を両手で包み込んで阻止し、真っ直ぐ俺に視線を向けさせて続けた。
「あおに発情期が来たとしても、俺は見境なくあおを襲ったりしない。それだけあおが大事だから。…だから俺はあおの隣にずっといたいよ」
ほとんど告白したようなものだったが、あおを俺の隣にいさせるには言う必要があった。
「いち、ありがとう。僕だって、ずっといちの隣にいたい!」
蒼が俺に抱きついてきた。
抱きしめて、まだ泣いている蒼を落ち着かせることに集中した。
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