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子供の誘拐は、発生から72時間がタイムリミットと言われているが、既に48時間が経過してた。俺の親父が捜査本部のトップだったことから、俺の耳の良さを認められて、捜査に協力した。普通ではあり得ないことだが、蒼のためにできることはどんなことでもやりたかった。
犯人からの電話を聞きながら、どんな小さな音も聞き漏らさないように記憶し、聞こえた情報を全て伝えた。
蒼が監禁されている場所があっという間に特定された。今まで見つからなかったことが嘘のように。
俺も急ぎ監禁場所に向かうと、既に蒼が保護されていた。
もう少し遅かったら殺されていたかもしれないと親父から聞かされて、すごく恐怖したのを覚えている。
蒼を見ると青ざめた顔で俺を見て弱々しく笑いかけてくれた。
首には犯人の指の痕がくっきり残っていた。
親父から聞かされたばかりの内容がやたら現実味を帯びてきて、あまりの恐怖で泣きながら蒼の元へ行き、一緒に救急車に乗って病院へ行った。
蒼がいない世界なんて…。
初めて蒼を恋愛対象として好きだと思ったのがその時。
蒼にはもちろん、誰にも教えていない、俺の秘密。
絶対にこの気持ちを打ち明けてはいけないと、子供ながらに今の関係が崩れることを懸念した。
この事件以降、東条家からは絶大な信頼を得たのだった。
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