第二の性

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大人の声が周りで聞こえる。目を開くと、両親の顔があった。 父が、母が泣きながら僕を力いっぱい抱きしめてくれる。温かい。さっきまでの恐怖が嘘のようだった。すごく安心した。 両親が一縷が僕を見つけてくれたんだと教えてくれた。 一縷を探した。少し遅れて一縷が到着したらしく、一縷の父君から、僕が見つかったことを聞いたんだろう。真顔の一縷が僕を見た。目が合い、心配をかけないように今できる精いっぱいの笑顔を作って一縷に笑いかけた。 そしたら、一縷が泣き出した。僕の方に泣きながら近づいてくる。長い間一緒にいるけど、あんなに泣いている一縷はあの時だけじゃないかな。一縷も泣きながら一緒に救急車に乗って病院までついてきてくれた。 一縷は僕の命の恩人なんだ。一縷の望みなら何でも叶えてあげたい。 それくらい一縷は僕にとって生きる全てで、一縷なしでは、僕はもう生きていけない。
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