第二の性

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side一縷 蒼の家に着いた。チャイムを鳴らすと蒼が笑顔で小走りに出てきた。 「おはよ、いち」「あぁ、おはよう。あお」 挨拶もそこそこに学校へ向かう。あんまりのんびりしてると遅刻する。 最近感覚がおかしいような気がする。 蒼の隣にいると、やたら甘い匂いが漂う。他の奴も感じているかと思って、クラスの奴らに聞いてみたが、感じているのは俺だけらしい。 それだけではない。高校に入ってからマルチにいろんなことがこなせた。 テストも特別勉強しなくても、上位成績を取れるようになった。運動も多少慣れれば失敗することはなかった。中学まではそんなことなかったのに…。どうしたんだろう? 俺とは逆に、蒼は相当がんばっているようだった。 俺たちの学校は、地区でも有名な金持ち校で、偏差値も三本の指に入るくらい高い。 そんな中成績を維持しようとしたら、毎日の努力は必要だろうが、蒼のそれは、過剰なほどだった。運動に関しては、明らかに周りについていけてなかった。 これらから考えても、第二の性が俺はαで、蒼はΩではないか。 不安になった。お互いにβだと小学校卒業の前の一斉判定で確定したはずだった。もしかしたら判定が誤りだったとしたら…。小学生のうちから第二の性についての勉強を年数回実施するため、小さいうちから必要な知識を刷り込まれていた。 どんどん不安が胸を押し潰そうとしてくる。 「いち、大丈夫?すごい苦しそうな顔してるよ?」 そんな俺に気付いた蒼が声をかけてきた。蒼は本当に優しい。 「何でもない。ごめんな」 少し自分の中で、整理する時間が欲しい。まだ蒼に言うにしても、自分の中で整理できていなくて、蒼に余計な不安を与えるだけになってしまう。そんなことにだけは絶対したくない。蒼の前にいる時くらいは、無様な姿は見せたくない。格好いい俺を見ててほしい。
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