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部屋で目が覚めると全身が生ぬるく、ぬめり気のある物に包まれていた。
あまりの不快さに起き上がり明かりを付けると、洗面台の鏡で自分を確認しに行った。
「、、、、、、、嫌っ!何これ」
全身が真っ赤だった。汗腺からとめどなく噴き出していたのは血液である。
真っ赤な顔を洗う、何度も何度も擦りぬめりが無くなるまで擦るとようやくぬめり気が取れ顔を確認した。
「いや、嘘よ。嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!誰か!!誰か助けて!!」
ぬめり気は無くなっていた。鏡に映った自分の顔はまるで鼻から下が人体模型の如く皮膚が剥がれ落ちてしまっていた。
痛みはなかった。
ただ自分の変わり果てた姿と恐ろしさで、辺りがパニックになり周りが見えていなかった。
その間、洗面所内に黒い羽虫が集まり、背景が真っ黒に蠢く事に気が付いた時にはもう遅かった。
全身を齧られ、体中の穴と言う穴から羽虫は体内に侵入を始める。
痛みと絶え間ない不快感。全身が凍りつきそうなほどの絶望感の中、あまりのショックと圧倒的な現実感に脳は耐えられずに意識は刈り取られた。
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