37人が本棚に入れています
本棚に追加
1-3 修理工場
1-3 修理工場
気がつくと俺は、修理工場の台の上に載せられていた。脱出ポッドに入り、六肢は一応あるものの、外骨格にかなりヒビが入り、そのままでは立ち上がれなかった。
エミリーを呼んだが来なかった。代わりに看護師兼修理士がやって来た。
「あなた、ヒビ割れだらけよ! 内臓は大丈夫のようだから、外骨格を直さなきゃ。あ~忙しい、今日も朝から立ちっぱなしなのよ!」
と、けたたましく顎を鳴らしながら、慣れた手つきでヒビが入った部分の外骨格の上に強化バイオプラスチックを当て、蒸気を出しながら素早くアイロンがけで接着していく。
最後は軽くヤスリがけをして表面を滑らかにし、一時間ほどで修理は終了して、やっと立ち上がることができた。
俺は脱出ポッドで漂流しているところを、艦隊最後尾の糧秣輸送船団に拾われたと聞かされた。どうやらエミリーがギリギリのところで、俺を脱出ポッドに押し込んだものらしい。艦隊はほぼ全滅したそうだ。
エミリーはといえば、最後の瞬間に脱出ポッドの空メモリーに全データを退避させたらしい。修理の後、1枚のメモリーカードを渡された。なんでも漂流している際、通信周波数帯で騒ぎまくっていたらしく、躾がなっていないと怒られた。
最初のコメントを投稿しよう!