1-4 ネスト

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その後、あてがわれた客間に戻り、妹達が用意した食事を摂る。既に我々は、狩りも家畜の屠殺も卒業している。食材はバッタの筋肉の万能細胞を生産工場で増殖させたものだ。妹達はそれを、今風に味付けアレンジしてくれた。宇宙船での食事は、自動クッカーのダイアル・メニューが限られているから、とてもありがたい。 食べ終えたら、妹達が宇宙の話をせがんだが、さすがに疲れていたので、話の途中で起きていられなくなり、 「ゴメン、おやすみ」 と言って、干し草の寝床の上に臥した。 久しぶりの寝床だ。俺は泥のように熟睡したが、目が覚める直前に、あの宇宙船を夢に見て、叫び声をあげたところで目が覚めた。 ちなみに俺もメスだが、生殖能力はない。生殖能力を羨ましいとは思わない。 オスを見かけるのも、年に一度の生殖期だけだ。オスが他の時期にどこで何をしているのかも知らない。 生殖能力のあるメスは、生殖期を過ぎたら、この居心地の良いネストを出て、自分で自分のネストを切り拓かなくてはならない。そして、そのネストの命運を、全て担わなくてはならない。判断を誤れば、最悪、そのネストは全滅する。 俺には宇宙船に乗り込んでいる方がよほど性に合っている。
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