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自分の席に座って、そんな事を考えていると、職員室の扉が開いて、女の子の声が聞こえてきた。
「失礼します」「失礼します」
2人の生徒、『教員課程クラス』の子達だ。トテトテと私の席にやってきた。
「ねぇみっちゃん、お昼どうするの?お弁当?」
・・・いきなり『ちゃん』づけ。まぁいいけど。
「うん、お弁当持ってきた」
「じゃあ一緒に食べようよ」
女子高生に誘われた。一応稲井先生の方を見ると、いいよぉと頷いてる。
「いいみたい。ちょっと待って」
「はーい」
2人はもうお弁当を手にしていて、学校の中庭に行こうと提案してきた。中庭は芝生になっていて、大きな木が木陰を作っている。ぐるっと縁取る花壇には、綺麗な季節の花が咲いていて、目を楽しませてくれる。今日みたいな天気のいい日に、外でごはんはすごく気持ちがいい。
生徒の名前は菅原 莉久と高田 菜々。最初に教室に行った時から、親しげに声をかけてくれた子達だ。
「みっちゃん、お弁当自分で作ってんの?」
「まあね、1人暮らしだし」
こういう事態を想定して、早起きして作ったんだよ。コンビニのお弁当なんか持ってきたら『女子力0』って言いふらされるところだった。
「へぇアパート?」
「一応マンションよ」
「えっすごい!お嬢様?」
「違う違う。親がね、セキュリティとかしっかりしてる所じゃないと、心配だからって」
「へぇ~いいないいな、女子大生~」
と悶える莉久を置いといて、菜々が身を乗り出して質問してきた。
「ねぇねぇ彼氏は?」
「(きたっ!と思いつつ)う~ん、最近ちょっと、いないかな~」
・・・最近ちょっと?しばらくずっといないぞ。と自分にツッコミを入れつつ、まぁいいか。ここは笑っておこう。
「でもさ、2人だって来年には大学生じゃない?」
話を変えようと思って、莉久の方を向いて言った。
「行ければねぇ~」
莉久は頭を抱えて、苦笑いをする。
「何で?『教員課程クラス』は学年で一番の成績って聞いたわよ」
「それ、平均点だから!うちには飛び抜けた人が何人かいるからね」
菜々の発言に、莉久もコクコクと頷く。
「飛び抜けたって、例えば?」
「そりゃ委員長でしょ。長峰!」
「長峰さん・・・ね」
「そ、全教科トップ。でもそれだけじゃないよ。何て言うか、意志が強いって言うのかな」
「もう教師になるって決めてるんだろね。言う事にもぶれがないよ」
「へぇ・・・」
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