第一章 主旨説明

5/12
前へ
/68ページ
次へ
自分の席に座って、そんな事を考えていると、職員室の扉が開いて、女の子の声が聞こえてきた。 「失礼します」「失礼します」 2人の生徒、『教員課程クラス』の子達だ。トテトテと私の席にやってきた。 「ねぇみっちゃん、お昼どうするの?お弁当?」 ・・・いきなり『ちゃん』づけ。まぁいいけど。 「うん、お弁当持ってきた」 「じゃあ一緒に食べようよ」 女子高生に誘われた。一応稲井先生の方を見ると、いいよぉと頷いてる。 「いいみたい。ちょっと待って」 「はーい」 2人はもうお弁当を手にしていて、学校の中庭に行こうと提案してきた。中庭は芝生になっていて、大きな木が木陰を作っている。ぐるっと縁取る花壇には、綺麗な季節の花が咲いていて、目を楽しませてくれる。今日みたいな天気のいい日に、外でごはんはすごく気持ちがいい。 生徒の名前は菅原 莉久と高田 菜々。最初に教室に行った時から、親しげに声をかけてくれた子達だ。 「みっちゃん、お弁当自分で作ってんの?」 「まあね、1人暮らしだし」 こういう事態を想定して、早起きして作ったんだよ。コンビニのお弁当なんか持ってきたら『女子力0』って言いふらされるところだった。 「へぇアパート?」 「一応マンションよ」 「えっすごい!お嬢様?」 「違う違う。親がね、セキュリティとかしっかりしてる所じゃないと、心配だからって」 「へぇ~いいないいな、女子大生~」 と悶える莉久を置いといて、菜々が身を乗り出して質問してきた。 「ねぇねぇ彼氏は?」 「(きたっ!と思いつつ)う~ん、最近ちょっと、いないかな~」 ・・・最近ちょっと?しばらくずっといないぞ。と自分にツッコミを入れつつ、まぁいいか。ここは笑っておこう。 「でもさ、2人だって来年には大学生じゃない?」 話を変えようと思って、莉久の方を向いて言った。 「行ければねぇ~」 莉久は頭を抱えて、苦笑いをする。 「何で?『教員課程クラス』は学年で一番の成績って聞いたわよ」 「それ、平均点だから!うちには飛び抜けた人が何人かいるからね」 菜々の発言に、莉久もコクコクと頷く。 「飛び抜けたって、例えば?」 「そりゃ委員長でしょ。長峰!」 「長峰さん・・・ね」 「そ、全教科トップ。でもそれだけじゃないよ。何て言うか、意志が強いって言うのかな」 「もう教師になるって決めてるんだろね。言う事にもぶれがないよ」 「へぇ・・・」
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加