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5月 橋の上で落ちる
5月に入ると、この高校は遠足がある。
バスで少し遠方のハイキングコース向かう。
日帰りでクラス内での親睦を深めようという行事だ。
遠足の間は、班で行動するように決められており、席が近い者同士で5人組の班が作られた。
俺を含めて男子は3人、女子は二人。
その女子の中に矢崎茉莉は居た。
矢崎とは隣同士の席なので、それなりに話をする仲のクラスメイトだ。
彼女が授業の課題をやっておらず、ノートを見せてとせがんで来たら見せてあげる程度の仲だ。
そのお陰で俺は、いつノートを見せてと言って来てもいいように、授業中にノートを丁寧に取るようになったし、課題も欠かさずするようになった。
だが、特に矢崎のことは何とも思っていない。
俺の目から見てかなり美人系でかわいいが、特に何とも思っていない。ハズだ。
恋だの、愛だのという感情は抱いていない……。ハズだった。
少なくとも、この遠足に向かうバスに揺られている時には。
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