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 くちびるが赤く腫れあがるくらい何度もキスを繰り返した後、おたがいの肩を抱いて見つめ合う。冷静さを取り戻すにつれ、頭の隅っこに投げ出した羞恥心がふたたび身体中を駆けめぐった。  顔を赤く染めてうつむき加減の僕を、鼻先がぶつかりそうな至近距離で見つめながら、川上がくすくすと笑う。 「森崎、可愛いな」 「……川上が悪いんだよ」  口を尖らせた僕に、「どうして?」と微笑みながら首を傾げる。 「僕がお前のこと好きだって、とっくに分かってただろ? 再会したあの夜から、分かりきったことだろ? だいたい……好きでもないやつと、毎晩毎晩飽きもせず電話するかっつーの」 「それでも、ちゃんと言葉にして欲しかったんだ。ただでさえ離れてるのに、おたがい忙しくて全然会えないし」 「……」 「それなのに、森崎が春田さんの話ばっかするから、」 「……はあ?」  思いがけない川上の言葉に、僕は間抜けた声を上げる。そんな僕を、川上が恨めしそうな目で見つめ返した。 「無意識かも知んないけど、『春田さんすごい春田さん格好いい』って、そんな話聞いて、俺が不安にならないとでも思う?」 「いや、それは……、だから僕は女のひとは……」 「さっきその春田さんと対面したら、すごく優しそうで可愛くて、ああいかにも森崎が好きそうなタイプだよな、とか考え出したらめちゃくちゃ落ち込んできて……」 「……川上、人の話聞いてるか?」  口を尖らせ非難めいた視線をぶつけてくる川上に、僕は苦笑した。 「そんなこと言い出したら、僕なんかとっくに地の底の底の地獄の方まで落ち込んでるよ」 「……え?」
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