目が覚めると

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目が覚めると、あたしは机に伏せている自分の姿を高いところから見下ろしていた。 「……え?」 困惑していると、更に驚く点に気付いた。 足が、子供が描くオバケのようにニョロニョロになっている。その先は透け、慌てて目の前にやった手の平までもが透けていた。まさか…… 「ギャアアア!」 気付いた時には悲鳴を上げていた。あたし、死んだの? 「ちょっと、静かにしてくれる?」 横から聞こえた声にはっとしてそちらを向く。 あたしと同じように浮いている人がいた。一つに束ねた髪に銀縁眼鏡。田中(たなか)(ゆう)だ。 「だ…だって!体が浮いて、透けてるんだよ?これ、完全死んでるじゃん。あ、あんただって」 そう、田中もまたオバケのようなヒョロヒョロの足に向こう側が透けた体をしていたのだ。 パニックになりながらも状況を整理する。授業も掃除も帰り支度も終わって、(あい)()を呼びに行った(あき)達を待っている間、ついうとうとしてしまったんだ。 その後何が起こったんだっけ。 「まさか…地震?知らぬ間に死んじゃったの?あっ、それとも強盗?殺されたけど今はまだその自覚がなくて、幽霊になって漂っている……的な?」 それにしては眼下が整然としている。机と椅子が規則正しく並び、ところどころに使い古した形跡はあっても荒れた箇所はないごく普通の放課後の教室だ。そもそもいくら寝ているからといって非常事態に全く気付かないなんて事はないだろう。 「じゃあ、田中と二人揃って心臓麻痺とか……」
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