目が覚めると

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「意外って、林さんの方が意外でしょ。授業中も休み時間もあんなにギャーギャーうるさくて強気なのに幽体離脱如きで動揺してるかと思えば、急に死んだんじゃないかとかありえない事言い出すし、必死で戻ろうとしてるし。笑える」 はあ!?あたしはぽかんと開けていた口を閉じ歯軋りした。 何なのこいつ、バカにしてんの?如きって何、魂抜けてんのよ?必死で戻ろうとするのが当然でしょ。平常心でいる方が変だ。 歯軋りを続けたまま、肉体に戻ろうと再挑戦する。つっかえる感触、変わらない視点。田中はまだ笑っている。ああもう、ムカつく! 「林さんって、もっと冷たい人かと思ってた。だって……」 笑いながらの田中が何か言おうとしたところで、教室のドアが開いた。
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