5.再会

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華やかな会場は、そこから一つの家が消えても、変わらない雰囲気だった。 志恩の腕にそっと手をかけ、千歳はゆっくりと歩を進める。 いくつかの集団を周り、婚約の紹介をする。 最近は商談の場ばかりで忘れていたが、 園池家への侮辱、軽蔑の視線、それが一斉に浴びせられる。 「成金に媚びて。いやらしい」 千歳はまっすぐに前を向いていた。 あぁ、懐かしい。 こんなもの、何の苦痛でも無かった。父の苦痛に比べたら。あの、船旅の苦痛に比べたら・・・ 「大丈夫?」 志恩が小さな声で聞いてくる。 それに対し、ニコリと余裕の笑みで応えた。 会場を周るうち、志恩は取引相手に捕まり、輪の中心に入ってしまった。 あ、と思う瞬間に手が離れ、引き離される。 志恩が、にこやかに相槌を打ちながら、 目が心配そうにこちらを見ている。 「千歳」 耳元で、懐かしい声がした。 「麗斗!!」 そこには、少しやつれた顔で、麗斗が立っていた。
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