2.奪われた日常

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・・・おい! 「おい!」 肩を捕まれ、ハッと顔を上げる。 ふらふらと導かれるように、またあの川沿いに来てしまっていた。 「麗斗・・・」 私の顔を見て、麗斗が顔を歪める。ひどい顔をしているのだろう。 「お前・・・大丈夫なのか。聞いたぞ、お前の親父が警察に・・・」 「お別れを言いに来たの」 麗斗の顔が引きつる。 「別れって、なに・・・」 「私は売りに出されるわ。もう一生出てこれないかもしれないから、これまでありがとうって伝えたくて・・・」 麗斗が口を開く。 顔が歪む。 「勘弁してくれ・・・」 苦しい声が漏れた。 肩を掴んだまま、麗斗は離さない。 下を向き、こちらに聞こえそうな程、ギリ、と歯を噛み締めている。 そうだよね、どうしようもない。 ごめん、こんなこと、言いに来るべきじゃなかった。 もう帰るね、そう言って麗斗の手を降ろそうとした、 その手を、ガッと掴まれる。 「来い!!!」 「え?どこに・・」 「いいから来い!!!」 麗斗に乱暴に引っ張られる。 ギシギシと手が痛む。 引きずられるようにして千歳は、初めて久我家に足を踏み入れた。
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