12.見えない心

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千歳は、それからどうなって、今車に乗っているのか、 あまり思い出せなかった。 きっと麗斗がフォローしてくれたのだろう。 大いに反省すべき所があるのに、どうしても一つの事しか考えられない。 私は、何か、勘違いしていたのかもしれない。 志恩は確かに私を見放したけど、 それは近衛家の脅しがあったからであって、 心は自分に向いていると思ってた。 でも・・・ 今日の冷たい態度と言葉を思い出す。 名前を呼んでくれたとき、すごく嬉しかった。 でも、もしかしたら、これまでの全部、私の勘違いだったんだろうか。 何か、約束をした訳でもない。 慣れている志恩にとっては、何でもないことだった? 私は、あの人に、 愛されてなかったのかもしれない。 そう思うと、次から次へと涙が溢れてくる。 見兼ねた麗斗がハンカチを貸してくれたが、 それがびしょびしょになるまで、千歳は泣き続けた。
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