13.志恩の覚悟

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志恩が言葉を発した後、 千歳の目が感情を失い、静かに逸らされたのを見た。 あぁ、だめだ・・・ それを見て、自分の心が死んでいくのが分かる。 優しい言葉一つかけられないなんて。 華がぐいぐいと引っ張るが、その場から動けない。 千歳とイギリス人夫婦が去ったあと、 射殺しそうな眼光でこちらを見ていた麗斗が言った。 「あんた、最低だな。」 言い返す言葉も無い。 黙ったままの志恩に、麗斗はチッと舌打ちをしたあと、 ぼそりと言った。 「もしかしたら、勘違い、してんのかもしれないけど、」 「千歳が俺に連絡した訳じゃない。」 俺が勝手に動いただけだから。 それだけ言うと、麗斗はその場を去っていった。 麗斗は自分が以前感じたのと同じ種類の、 俺の嫉妬に気付いたんだろう。 情けない。 ・・・でも。 これで、良かった。 自分に言い聞かせる。 お互いの気持ちが無いと思われていないと、動けない。 志恩は顔を上げると、不満そうに見上げる華に、 優しく笑いかけた。
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