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そこからの利益は、これまでの近衛家、八神家の取引量を吹き飛ばすような莫大さだった。
面白いように金が入る。
財産税施行にあたり焦りを抱いていた正隆は、
その不安から開放されていくのを感じていた。
志恩は、躊躇いもなく、気配も残さず、阿片を売りさばく。
はじめこそ見張りを常につけていた正隆だったが、
見るものによっては冷徹で容赦のない志恩の商売に、
最終的には、高倉のみを関わらせるようになった。
志恩は、ただ、この時を待っていた。
「本当に、やるんですか・・・?」
冷静な高倉が、泣き出しそうな声で言う。
大の大人が、なんて顔をしてるんだよ、と志恩は笑って肩を叩く。
近衛家に来て、わかったことがある。
脅されていたのは、高倉も同じだった。
「そんなことしたら、あなたは・・・!」
いいんだよ。
志恩は、穏やかな笑みを浮かべていた。
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