13.志恩の覚悟

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そこからの利益は、これまでの近衛家、八神家の取引量を吹き飛ばすような莫大さだった。 面白いように金が入る。 財産税施行にあたり焦りを抱いていた正隆は、 その不安から開放されていくのを感じていた。 志恩は、躊躇いもなく、気配も残さず、阿片を売りさばく。 はじめこそ見張りを常につけていた正隆だったが、 見るものによっては冷徹で容赦のない志恩の商売に、 最終的には、高倉のみを関わらせるようになった。 志恩は、ただ、この時を待っていた。 「本当に、やるんですか・・・?」 冷静な高倉が、泣き出しそうな声で言う。 大の大人が、なんて顔をしてるんだよ、と志恩は笑って肩を叩く。 近衛家に来て、わかったことがある。 脅されていたのは、高倉も同じだった。 「そんなことしたら、あなたは・・・!」 いいんだよ。 志恩は、穏やかな笑みを浮かべていた。
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