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「麗斗様・・・!」
使用人たちが止めるのも聞かず、麗斗はどしどしと歩を進める。
洋館と和館からなる美しい久我邸。
その和館の一室で、麗斗の父親、久我晴成は、客をもてなしている真っ最中だった。
「麗斗・・・!」
いけない、そう思い腕を引っ張るがビクともしない。
麗斗は晴成と客のいる部屋に飛び込んだ。
「な・・・!麗斗、お前、何を・・・!」
「父さん・・・!」
麗斗は絞り出すような声を出す。
「頼む、こいつと結婚させてくれ・・・!」
悲痛にも聞こえる声が響く。
唖然としている客を、使用人が慌てて別室に連れていった。
「麗斗・・・お前は何をやっているんだ!!!」
ビリビリと響くような怒声。
ビクッと、麗斗と千歳の身体が固まる。
晴成の目が麗斗から千歳に移る。
その顔が嫌悪に染まっていくのを千歳は見た。
「また、その女か」
冷たい声が落とされる。
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