14.復讐の行方

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志恩は、阿片の輸入、所持の罪で拘束された。 このまま何もしなければ、全ての罪が志恩にのしかかってくるかもしれない。 千歳は、次の日、居候中の久我家で、麗斗、飯田と机を囲んでいた。 飯田によれば、近衛家は、家長である正隆が勾留され、屋敷には記者たちが押し寄せ、混乱の真っ只中であるという。 「俺たちは、徹底的に近衛家を叩きます。  千歳さんから頂いた、別件で陥れられた可能性のある家族についても、追いかけますね。」 飯田が真面目な顔で言い、ニコッと笑う。 「八神には、色んなネタもらって、借りがあるんで」 ありがとうございます。 千歳は礼を言ったが、ずっと望んでいた報復が出来たにも関わらず、手放しで喜べずにいた。 今は、父様と志恩を助けることに集中しないといけないのに・・・! 「残された近衛家の人たちは・・・どうなるんでしょう。」 千歳は両手を膝の上で握り締めていた。 おい、千歳、と麗斗が咎めるように言う。 「まぁ、記者は押しかけますし、世間の目もあるので、  かなり苦しい思いはされるでしょうね・・・。」 そうですか、と千歳は暗い声で言った。 「ごめんなさい、」  志恩があそこまでしてくれたのに、私は覚悟が甘かった。 復讐をするということは、その相手の家族や、親戚、使用人、関わりのある人たち皆を巻き込むということだ。 それこそ、自分たちと同じような、直接は罪の無い人たちも。 自分が望んでいた事は、こういう事だったんだ。 「甘い事を、言うようですが・・・  無実の罪で拘束されている人たちが開放されれば、  私はもうそれ以上は望みません。」 麗斗がため息をつく。 飯田は困った顔をして言った。 「お優しいですね、・・・申し訳無いですが、記者というのは、もうこうなったら、加減出来ない津波のようなもんです。」 「いちおう、お気持ちだけは分かっておきます」 その後の飯田、そして、出版社の動きのおかげで、 まず千歳の父、具忠が、 そして、その他無実の罪を背負わされていた人たちが開放された。
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