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元々外国人の設立した文化学院高等学校は、当初生徒が男性のみだったが、
男女共学に熱心だった創設者の意図を組み、女はたった3人だけが入学を許されていた。
その3人のうちの1人が、千歳だった。
女性教育に密かに熱心だった祖母は創設者に掛け合い、幼い頃から頭脳明晰だった千歳を入学させたのだ。
入学後は好機の目に晒される日々だったが、
どの科目でも上位成績を収める千歳に、麗斗は早くから興味を持っていた。
今は家の事情で退学してしまったが、
どんな言葉を投げかけられても実力で黙らせる、時代錯誤で、男勝りな内面。
それに反して、小柄で美しく、気の強い瞳。
自分の周りに、この女以上に惹きつけられる異性を見たことが無い。
決して口には出さない。出せないが、何人かとダンスをしているだけでもザワザワと胸が波立つ。
年齢的にも、いつ結婚してもおかしくない。
いつか誰かのものになる。
でも、それは絶対に自分ではない。
その苦しい事実が、麗斗をいつも天邪鬼にしていた。
「で、今回、お前の親父は何企んでんの。」
「あなたと、同じよ。」
あぁ、と麗斗はその言葉で納得したようだった。
「大変だな。学校では苦労しなかったお前が。」
冷たくあしらってもいつもめげずに絡んでくる。
そろそろ本当に離れた方がいい。
その時、
「千歳」
来なさい、そう呼ばれて顔が歪んだ。
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