5.再会

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親父に見つかるとまずいんだよ、 そう言う麗斗は、その表情も声色も、千歳の知るままの麗斗だった。 ほ、と安心し、引かれるままに、柱の影にすっぽりと入る。 「麗斗、大丈夫なの・・・?本当にごめんなさい、私・・・」 麗斗は、見張りを常につけられてはいるが、 千歳が志恩と婚約をしたという話が伝わってからは、 比較的自由に動けているようだった。 その話をしながら、麗斗に言われた言葉を改めて唐突に思い出し、今更ながら二人きりという状況に落ち着かなくなる。 千歳を見下ろす目が、少し、変わった気がした。 「千歳。婚約、したのか・・・?」 冷静を努めてはいるが、麗斗の声には苦しそうな息が混じる。 言うべきか。黙っておくべきか。 あそこまでしてくれた麗斗に? ・・・嘘は、つけない。 「婚約は、カムフラージュよ。」 「ただの契約。取引なの。」 そう言った瞬間、麗斗は目を丸くし、顔を近付ける。 またあの美しい目。 「千歳。俺は、絶対に迎えに行く。」 「頼むから、俺の気持ちに蓋をしないでくれ・・・」 顎に手を添えられ、耳元で囁かれる。 この人はいつからこんな声を出すようになったんだろう。 腰から崩れてしまいそう。 その時 「うちの婚約者を誘惑するのは、やめてもらえるかな」 バッと麗斗から離れ、振り返ると。 いつもは涼しい顔に怒りを湛えて、志恩が立っていた。
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