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「あぁクソ!このままでは本当に終わりだ!」
次の日、父は大声で母と私を怒鳴りつけていた。
最近は夜会が終わるたびにこうだ。
「父様。もう今は、父様の人脈を軸に、商いで身を立てている人たちに、何か事業に関わらせてもらえないか言うしか・・・」
「女が口出しするな!!」
びくり、と身体が固まる。母が震える手を背中に置く。
「元はといえばお前が学校なんかに通うからだ!普通の娘であればさっさと貰い手が見つかったものを!」
何度も聞かされた言葉に耳が痛くなる。
父は焦っている。私も、何とかしたい。だが・・・
お前の顔など見たくない!!
父の癇癪は収まりそうになく、母と目を合わせ、しばらく家から出ていることにした。
少し経てば、また手段は千歳の嫁ぎ先を見つけるしかないという結論になり、慌てて千歳を呼び戻すだろう。
季節は長い冬が終わり、ぽかぽかと陽気に包まれ、
川沿いを散歩していると気持ちがいい。
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