1.居心地の悪いパーティ

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無心で歩いていたのだろう、気づくと普段来ない辺りまで来てしまっていた。 まずい、この近くには・・・ 「よぉ。」 パッと振り返ると、麗斗がすぐ後ろに立っていた。 「お前、この辺りに近付かないようにしてたんじゃなかったっけ。」 しかも、放心状態だったぞ。 ニヤけながら言う麗斗に、冷たく、何か用、と言う。 麗斗は少し黙り、目を逸らした。 「・・・こないだ。どうだったんだよ」 「どうって?」 「鹿鳴館の夜会で。めぼしい相手、いたのか」 またか。家の中でも外でもこの話題。うんざりする。 「知らないわ」 「知らないって。お前のことだろ」 「知らない。父が誰に断られたのかも、次に誰を狙っているのかも。 うちが経済的に追い込まれているのは、もうどこも知ってる話でしょ。それを知って、私と結婚しようかななんて人、いる訳ないじゃない。」 私が男でも、絶対貰わない。 そう言って橋の欄干に手を置く。 麗斗は、そうか、とポツリと言い、 「お前、黙ってたら誰かお飾りにもらってくれるんじゃないか」 そう言って私を見下げてくる。 冷たくて綺麗な目。 いつもこいつはこういう目で私を見る。 突き放すような、縋り付くような目で私を見てくる。 今にも抱き締められそうだと思うこともあれば、 くるりと踵を返して二度とこちらを向かないような気もする。 吸い込まれそうに見つめ合う。
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