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2.奪われた日常
いつ終わりが来ても、おかしくない状態だった。
日々の生活にも苦労し、母は何とか親戚から援助を受けられないかと、駆け回る毎日。
何か手を打たないと、
そんな時に事件は起こった。
「父様・・・!どうゆうこと!?」
「黙れ、口出しをするな!」
振り払われて畳に叩きつけられる。
「千歳!」
「姉様!」
母と、まだ幼い弟、冬璃が駆け寄ってくる。
「お前は女の癖に学校でも勉強なんて不必要なものしおって!黙って男の言うことを聞いておけ!!」
事は、珍しく嬉しそうに帰宅した父が持って帰ってきた。
近衛家
華族の中で最も高い地位となる家から、
西洋品を買い受けたのだと言う。
「もう近衛の家では不要になった品だと言うんだが、売れば倍の値段になるというんだ。」
笑う父に、血の気が引いていく。
そんな上手い話がある訳がない。
近衛家。由緒正しき家だが、最近外国商人とやたら取引していると聞いている。その品物だろうか。
なんにせよ、あの家からうちの様な家に、わざわざ助け舟を出すとは思えない。
叩かれた頬を抑え、涙をこらえて父に訴えかけるが、
聞く耳を持たない。
もういい、もういいよ、と言う母に抑えられ、千歳の叫びが父に届くことはなかった。
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