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 ――もちろん、あの家を出たからといって、何もかも解決したわけではありません。  家を出た私に気づいた夫は、すぐに連絡をよこしました。  私を案じる言葉は一つもなく、義母の世話はどうするのか、ということだけを、中学生のようにギャンギャンと喚いていました。  私はそれをどこか他人ごとのようにぼんやりと聞いた後、 「お義母さんのことは、わたしよりもっと相談する相手がいるんじゃないかしら。それが嫌なら、あなたがこのところよく会っているあの女の人に来てもらえばよろしいわ。家に帰る間も惜しんで会っているんでしょう?」  と提案すると、夫は口を噤みました。  夫との離婚が成立したのは、つい先日のことです。  気がかりだった義母は今、老人ホームにいるそうです。  離婚の話し合いの際、夫はよく言っていました。 「母さんを捨てて、平然としてるのか。お前は最低だ、人でなしだ!」  ――あなたも私を人でなしとお思いになるかしら。  けれど私は、人間に戻りたかったのよ。
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