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 薄暗く、冷たく、悪臭のこびりついたあの古い家の中で、変わってしまった義母とずっと二人っきり。とっくに限界にきていたのです。  家を出たのは早朝でした。  夫はまだ眠っていました。私はメモと、記入しておいた離婚届を居間のテーブルに置きました。そんなことをしていると、まるで古いドラマみたいだわ、と自嘲した覚えがあります。  家を出る前、少しだけ義母の様子を見にいきました。  義母は起きていました。  大きなバッグを抱えた私を見た義母は顔をくしゃくしゃに歪めました。 「ごめんね、悪かったね、裕子さん。悪かったねぇ……」  泣きながら謝る義母に、そのときの私は何も言えませんでした。  義母は悪くないのです。
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