3話 違和感

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寝不足の上、何人かも記憶できないほどの数の患者を診察した後に 今度は苦手な子供の相手かと思うと、 どんな仕事に対しても苦痛だとは滅多に思うことはないが 自然に病室に向かう足は重くなる。 自分の置かれた状況に混乱しているのかもしれないな。 倒れる前のことを思い出したのかもしれない。 どちらにしても面倒だ。 気が重いままに着いてしまった病室のドアの前に立つと 閉めたドア越しでも聞こえる子供の泣き声に 一つ深い息をしてから、気持ちを引き締めてドアを開け病室へと入った。
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