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最近調子が狂う。
少年が来てからというもの、院内の雰囲気というか
空気が変わった気がする。
看護師たちも少年に振り回されるのを楽しんでいるように感じる。
その場にいるだけで空気を変えてしまう存在。
例えば、冬に向かう今の季節の寒い空気を
一変して暖かい春の空気に変えてしまうような
理解できない空気感を持っている、というのが一番近い表現かもしれない。
育ってきた酷い環境が自己防衛として身につけさせたのか
それとも持って生まれたものなのか。
どちらかは知らないが、私には持ち合わせていない空気だなと思ったとき
以前岩見が私に似たようなことを思い出した。
勿論、少年が齎す空気とは真逆の意味でだが。
ーーーーお前がいると、空気が凍るよな。
理論として正しいことがいつも正しいとは限らないんだぜ
学生時代から感情論ではなく、理屈として正しいことしか認められなかった私に
岩見は度々呆れたように言った。
思い出したついでにその言葉の意味を改めて考えてみたが
学生時代と同じく、結局その言葉の意味はわからなかった。
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