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目を開くと、デジタル時計の表示は11:11となっていた。昨日──正しくは今朝方ー横になる時は5:11の表示だった筈だ。丁度6時間。時の流れの遅さと目覚めてしまった自分に軽い失望を覚えつつ、のっそりと起き上がる。(さなが)ら冬眠明けの熊の様だ。また、今日という長い一日が始まる。 枕元に置いていたスマートフォンで短くメッセージを打ち、身支度を整えた。珈琲の代わりに久し振りに紅茶を淹れてみる。朝食と言う名の昼食が済むと、何もする事が無くなってしまった。大き過ぎる部屋は妙にガランとして見える。そこにある空気さえ、何処か余所余所しく感じて何だか居心地が悪い。それから逃れる様に意味も無く部屋の中をグルグルと歩き回る。不意に、壁に貼られた大きなカレンダーに目が留まった。半端無意識に続いていく今日の数を数える。まだ274日。この何不自由無い孤独な囚人生活が、半年以上続くのか。浮かんだ考えを断ち切る様に軽く頭を振る。
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