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広い部屋に無機質な電子音が響く。音が最後まで鳴り切るより早く、スマートフォンの画面を開いた。一度打った文を全て消し、短く返信する。ガラス張りの奥に高層ビルが立ち並んでいるのが見えた。更に奥に見える水平線の隅には、小さな島が浮かんでいる。全面で陽の光を反射している水面は、青さなど微塵も持たない。輝く宝石に入った傷の様な小島の前を、ジリジリとタンカーが過ぎて行く。玄関の柱時計がゴォンと3回鳴るのが聞こえた。時が経つのは何と遅い事か。 いつもより丁寧に髪を洗い、ドライヤーで乾かす。新調したばかりのパジャマは少しまだゴワつく気がする。軽く髪を梳かしながらパソコンを起動し、不要なメールマガジンを削除していく。よくもまあこれだけ不要な情報を集めて来られるものだ。本当に必要な情報などある筈も無い。分かっていても確認せずにはいられない。それで時間が過ぎるのならば、尚の事だ。
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