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「まんまんま、まんまんま」
「おかわり?ちょっと待ってね」
煮物のじゃがいもと人参をスプーンで小さくし、娘の口元へスプーンを持っていく。
すると口を大きく開け、もぐもぐと一生懸命口を動かした。
「おいしい?よかったねぇ」
よく食べ、よく寝て、機嫌もいい。
なのに。
「はぁ……」
溜息をつかずにはいられない。
ここしばらく、子育て支援センターへ遊びに行かなくなってしまった。
もともと人付き合いは苦手だが、家にふたりきりでずっといるよりは、娘の刺激にもなるだろうと思い、気が向いた時は行くようにしていたけど。
「娘さん、おとなしく遊んでてお利口ねぇ」
「おとなしいというか。ハイハイしないから自分では動けないっていうか」
「今何か月?」
あ。
まただ。
そりゃ、何か月って聞くよね。
ハイハイしないんだから、1歳未満ってやっぱ思うよね。
「あー、1歳2ヶ月」
「あ、そうなんだぁ」
ほら。
返事に困った。
「私も相当遅かったらしいから、遺伝かな」
「そうなのね。お母さん似なのかもね」
そう言って、少しほっとしているのが見てとれた。
このやり取りをいちいちするのが面倒くさくなってしまったのだ。
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