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「その後どうですか?」
「んー、相変わらずです」
「お風呂上がりの脚の体操もしてる?」
「はい」
そんな会話をしながら、先生は娘の脚をカエルのように曲げてみたり、伸ばしてみたり。
先生に脚をくねくね動かされても、娘は余裕の笑顔だ。
「よしよし。いい子。もういいよ」
娘は脚が自由になると、ベッドの上で勢いよく何度もキックした。
「よく動いてるけどなぁ。んー、じゃあ、あとひと月様子を見ようかな。それでなんにも変化がなければ、リハビリテーションセンターに紹介状を書きましょう」
「はい」
と、その場で返事はしたものの。
リハビリテーションセンターって。
本格的にヤバくない?
え、どうしよう。
本当に歩けない子だったらどうしよう。
どうしよう!
漠然とした不安に頭の中が支配されそうになったけど。
いやいや。
冷静になれ。
あんなに力強くキックできるのに、歩けないとか。
ないない。
私も相当遅かったんだし。
そんなに心配することはない。
でも……。
普通には歩けないとか?
いや、歩けたらいいじゃん、どんな歩き方でも。
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