SF世界のゲーム実況者

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そしてその時は来た。 彼女がカーテンの奥から姿を現す。 本当にいたんだ、とどよめきが起こる。 アンチはとことんバンする容赦のない性格とは裏腹に案外小柄なその姿に、人々はよけいに興味を持った。 だが同時に、落胆もしていた。 フードをすっぽりとかぶっていたからだ。 事はシナリオ通りに進められた。 雑談をし、彼女が投稿したことのあるゲームをプレイし、宣伝をする。 全てがシナリオ通りだった。 出番が終わり、彼女は去り際に集まった人々に向かって声をかけ始めた。 その内容を真剣に聞いている人間がどれだけいただろうか? フードの陰に隠れた素顔を見ようと、薄暗い会場の中必死に目を凝らしていた人間の方が多かったと思う。
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