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だからこれもシナリオ通りだったと言えるだろう。
前列の方にいた若者が、突然フラッシュを焚いた。
一瞬閃光が走り、会場が水を打ったように静かになり、直後どよめきの波にのみ込まれる。
フラッシュを焚いた若者は興奮気味だったが、焚かれた彼女はピクリともしなかった。
それがさらなる閃光をうんだ。
会場の一角が少しの間まばゆい光に包まれ、すぅーっと闇に戻り、徐々に元の姿へと戻っていく。
フラッシュが焚かれた瞬間の彼女の姿は、あっという間にその場にいる人間に共有され、ネット上にも拡散された。
だがそのデータを見て、人々は絶句した。
何も写っていなかった。
ステージの上に堂々と立つフードをかぶった彼女は、口角を上げて笑った──ように見えた。
そうして言った。
「今をいつだと思ってんの?」
SF世界のゲーム実況者
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