「さっちゃん」

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高校生の私にとって世界はまだ狭くて。
その時大学生だった親友の律子のお兄ちゃんがとてもかっこよく見えて、密かに片思いをしていた。
「さっちゃん」
私を呼ぶ声は優しくて。でもそれは私だけへの優しさではなかった。彼は誰にでも優しかったから。妹の親友ということで、特に可愛がってもらってた自覚はある。
でも、それも妹の延長だったに違いない。