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遊べばいいんじゃない?
奈緒「先生ぇー……」
間延びしたやる気の入らない声。
外からは蝉一匹の鳴き声もしないのに、教室の中は視界が歪むような湿度と熱気で覆われていた。
颯翔先生「……なんだ」
大きめの棒アイスをちまちまと舐めながら、似たり寄ったりの腑抜けた声で応える。
こうなるのも教室の前の温度計が示すのは30℃。夏冬兼用の制服では地獄に近い気温だった。
完璧主義の校長先生は、再現する場所を間違えている気がする。
だったらせめてエアコンをつけてほしい、なんて言ってしまった時には、景色はすぐに吹雪に変わるのだろう。
奈緒「暑いので文弥くんの席替えを要求しまーす……」
一方後ろの温度計が示すのは26℃。一角の生徒だけは明らかに、他と違った涼しい顔をしている。
いや、涼しさを求めて集まっているから、若干窮屈そうではあるが。
颯翔先生「そうだな……、文弥、先生の前に来ないか?」
欲望丸出しの誘いには返事がない。
美琴「先生ぇ~、ふみくんは夢の世界へ旅にでちゃってまーす」
暑さでダウンしていない美琴は、いつもの調子で言う。
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