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嫌なにおいがしている筈なのに、そんなこと全く顔には出さず頭をなでられる。 吐き気はいつの間にか納まっていて、「あの」と声をかけると手を離される。 水を流して吐瀉物を片付ける。 差し出されたハンカチは多分口を拭えということだろうけど、汚すわけにはいかずためらっていると 「何も考えなくていいから。」 と言われ、ハンカチを受け取ってしまった。 仕方がなく口元を拭いて立ち上がると、眩暈に似た感覚で足元がふらつく。 体を支えられて何とか歩く。 「ちょっとやせずぎじゃねーか?」 「そうかな……。」 自分でも貧相だという自覚はあるが、自ら貧相です、なんて言えるはずもなくはぐらかす。 「相変わらず青い顔だな。」 確認するように顔を見られ思わず視線を逸らした。 「なあ、今日俺の家来ないか。」 今日は丁度バイトもないし、少し俺の家で休んでいけばいい。 一人暮らしで誰もいないし、お前のそれがまた話だしそうなら俺が追い払ってやるから。 そう言われ、明らかに迷惑なのに思わず頷いてしまった。 了
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