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彼は、影を振り払えるから普通にしていられるのだろうか。
「まず、アンタは周りを見すぎないことから始めたらどうだ。」
「……だって、気持ち悪いじゃないか。あんな風にまとわりついているのは。
どうしても気になってしまうよ。」
ポツリポツリと、返した言葉を、彼は静かに聞いてくれた。
「他人が死にたかろうが、そうでなかろうがどうだっていいだろう。
そもそも、その死にたいって言うのが、冗談みたいなもんなんだ。
気にするだけ無駄た。」
彼がそう言うと、丁度注文した食事が運ばれてきた。
仕方なく、一口うどんを食べる。
味は良く分からない。
「大丈夫だ。気にしなければ、段々大丈夫になる。」
しっかりと彼が言う。
根拠なんか何もなかったが、それでも同じように見えている彼が言うのならという気分になった。
半分程残したが、それでも吐くことは無かった。
食べ終わって落ち着くと、ずっと思っていて誰にも言えなかった疑問を口にした。
「なんで、あなたは影に触れるんですか?」
この影が何なのかを知ったところで意味があるとは思えなかった。
なんであるにしろ、そこに在って、俺には見えるのだから変わりはない。
「中学の時にあんまりむかついて毎日サンドバックにしようと殴りかかってたんだよ。
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