1人が本棚に入れています
本棚に追加
にひひ、と笑う遙嫁ちゃん。呂加ちゃんは顔をほんのり染めて、反抗した。
「なんだよ! 怖がっちゃ悪いのかよ! 女子は普通こういうものを見て怖がるものなんだよ! こんな写真を見て冷静でいられる新入部員がおかしいんだよ!」
わたしはむっ……となった。
「どうせわたしはおかしいわよ。そもそもこんな部活に用なんてないし。心霊写真にも興味はない。遙嫁ちゃん、本当にこの部活の活動方針を聞かせてくれないのなら、わたしはこのおチビちゃんのいる部室から退出させてもらうわ」
「お、チビ……」
呂加ちゃんはわたしにそう言われて身体をわなわなと震わせた。わたしは追撃する。
「あなたもそう思うわよねえ? お・チ・ビ・ちゃん?」
「うぅっうぅっうぅっう……」
呂加ちゃんは我慢できなくなったようで、まさしく怒髪天を突き、腹を立てて見せた。
「うがーッ! あたしをチビ扱いするなんて許せねーです! 良いでしょう、勝負しましょう!」
「勝負?」
わたしは突如切り出された申し出に、首を傾げた。遙嫁ちゃんを筆頭とした心霊会メンバーも、一様に呂加ちゃんの次の言葉を待っている。
「そうです勝負です! 勝ったほうが負けたほうを好きにして良い! それはあたしがあなたをペットのように扱っても構わないということです。あたしをチビ扱いした報いは、きっちり受けてもらいます!」
「へえ、おもしろいじゃない。それで、何で勝負するの?」
「それは……」
呂加ちゃんは口籠もった。遙嫁ちゃんは思わぬ方向に動き出した事態に当初こそ困惑していたが、そののちに見せた笑みを、わたしは見逃すことはしなかった。
「それで、温泉というわけ……」
わたしと心霊研究会のメンバー四人は放課後、校舎から離れた学生寮の一階、生徒のために設けられた広大な浴室へとやって来ていた。浴室と言ってもそこは生徒三百人以上を擁する聖羅女学院の共同バスルーム。広大な敷地に加え、設備は新品同様に清潔で、優美だ。
三年生、二年生に混ざり、わたしたち五人は脱衣所にて衣服を脱ぐと、早速お風呂場へと直行した。
「勝負とはサウナ対決です! どちらがより長く温まっていられるか、勝負です!」
「平和ねえー」
同年齢の恵美お姉さんが豊満なバストをたゆんと揺らして、シャワーの付いた洗面台のほうへと向かって行く。
「私たちもサウナには行くつもりだけど、まずは身体洗わないとねー!」
最初のコメントを投稿しよう!