第1章

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 と、半ば敗北宣言をしたのだった。 「あら。わたしたちはこれからお湯に浸かるのよ。ねーっ」  わたしはうぐいすちゃんの小さな頭を撫でなでしながら、多種多様なお風呂の中より呂加ちゃんのいた檜風呂へ入浴して、身体を温めた。 「うん」  うぐいすちゃんが初めて自分自身の体で喋ったのを見計らい、わたしはゆっくりと片手で作ったお椀で肩に湯を流す。無意識なのかうぐいすちゃんの持つ防水加工が施されているというお人形は、その頭部までずっぽり湯の中に沈んでいる。彼女はそのことに気づいていない様子だ。 「あーもうッ、あたしはもう出る! サウナはまた今度だ!」  呂加ちゃんがそう言ってきたので、わたしはすんなりと言ってのける。 「ということは呂加ちゃん、あなたの不戦敗ということで良いかしらね。たしか負けた方は勝った方のペットになる約束だったはずだけど違ったかしら?」 「ドSねー」  隣で恵美さんがわたしの評価を下す。たしかにわたしはそうなのかもしれない。いや……おそらく。 「はあ!? 誰が言ったよそんなこと!?」  わたしは呆れて溜め息を吐きながら言う。 「もう忘れたのかしら。それはあなた自身で言ったことよ。有言実行。わたしに勝負を持ち掛けたのだから、途中で逃げた者の負けって相場は決まっているでしょう? それとも何かしら、今さらここにきてルールを変えようとでも言うの? 恥も外聞も投げ捨てて」  そこまで言うと、一度湯船から出た呂加ちゃんが浴室に響く声音で言った。 「わかったよ! そこまで言うなら受けてやるッ! ただし少し水飲んでからだ! いいか、新入部員!」 「お好きにどうぞ」  わたしは水飲み場へ早足で歩き去って行ってしまった呂加ちゃんを見かねて、独りごちた。 「もはや戦うまでもないわね」  駆け足で檜風呂に戻って来た呂加ちゃん。遙嫁ちゃんと恵美さんはどうやらお風呂を満喫したみたいで、湯船から出て行った。 「それじゃあ私たちはこれでー。あとで結果聞かせてねー」 「じゃあね、織姫ちゃん。明日また心霊部でねん」 「はい」  そうして二人は一足先に脱衣所へ向かってしまった。話の流れ、はたまた勢いで肯定の返事をしてしまったが、わたしはまだ心霊部に入ったつもりはない。恵美さんの期待には残念ながら添うことは叶わないであろう。  それから五分後、さすがに上せてきたのか、呂加ちゃんがへなへなとなって語り掛けてくる。
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