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「武器と防具って、ええ!? モンスターに襲われたら私も戦わなきゃいけないんですか」
「あんたは最低限の防具だけでいいさ。だが傭兵を雇うほどの余裕がない以上、俺には自分と依頼人、そして出品する品物を守る為の武器がいる」
様々な亜人種が行きかう街の中を南に向けて歩く事5分。
身長の低さの為かマシロの前を歩くクロイが3人ほどの通行人とぶつかりながらたどり着いたのはクロイ鑑定所に負けず劣らずの廃れた雰囲気を醸し出したレンガ造りの武器屋『トヨトミ』であった。
現在も中で鍛冶仕事を行っているのか天井に取り付けられた煙突からは黒い煙が立ち昇っている。
クロイは武器屋トヨトミのドアを開けると至る所に剣や鎧が並べられた室内をずかずかと進み、カウンターに設置された呼び鈴を鳴らした。
「はいはい、どちらさんかな?」
しばらくすると暖簾で仕切られた奥の部屋から白く長い髭を生やした大トカゲが現れる。
大トカゲと言っても2本の足でしっかりと立ち、会話も可能な亜人種リザードマンだ。
「よう、ドラクロの爺さん」
「おお! クロイじゃないか。預かってたお前の『ジュウ』とかいう武器なら磨き終わっとるぞ」
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