旅の準備をしよう

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 エルフらしからぬ叫び声を上げながら後ろにひっくり返るマシロ。 「ギエーってお前……」 「ギエーってお嬢さん……」 「ギエーってマシロ様……」  クロイ、ドラクロ、エヴァがそれぞれ呆れた声を出し、冷たい視線を床に転がる女エルフに向けた。しかしマシロはそんな事は露ほども気にせずに立ち上がりエヴァを持ち上げる。 「すごい! すごい凄い! これも幻想道具ですかクロイさん?」  目を輝かせながらの質問にクロイは首を横に振る。 「そいつは人神戦争時代に人間側が対神々用に開発した人工知能搭載武器。通称で〝インテリジェンスウェポン〟なんて呼ばれてたらしいぜ」  戦争中、常識はずれな力を持つ神々を相手に人間達が武器にしたもの。それは長い時間の中で蓄え進化させてきた〝知識〟であった。  人間達は培ってきた知識を自らの持つ武器に集約させて戦ったのだ。  予測射撃、自動索敵、地形の有効利用、破損時の自己修復とエネルギーの自動充填、接敵した相手の情報収集と共有。  インテリジェンスウェポンは威力的には幻想道具に遠く及ばないものの、武器に知能をつけるだけという生産性を活かし、数を増やし続けて神々を圧倒したが人間の敗北と共にそのほとんどは破棄されたという。     
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