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何故コーネリアの街の住人は最北の孤島から逃げ出した最古の種族、神々と戦った愚かな種族と普通に笑顔で話しているのだろう。
確かにスフィアでは人間を見つけても捉えなければならない法などない。
しかし、普通はもっと警戒したり避けたりするのが自然な反応ではないだろうか。
「ああ、そんなことか。難しい顔をしてるから何を言われるかと思ったよ」
「そんなことって……」
「この街に住む者達はね、皆クロイに借りがあるのさ。大きな、大きな借りがね」
そう前置きしてドラクロは思い出話しをするかのような穏やかな声で語り始める。
3年前、コーネリアは未曾有のモンスター大発生につき旅行客や行商人が激減し、商売が成り立たず財政難に陥っていた。
大量のモンスターを駆除するには高い金を払って傭兵団を雇わねばならないが、街の者達は自分達が生き抜くだけでも精一杯でそんな余裕などない。
このままではコーネリアが無くなってしまう。
街の者達は皆絶望した。
そんな時だ、この街に妙な格好をした人間の少年が現れたのは。
最北の孤島から逃げてきた古の種族。最初は皆その少年を薄気味悪がった。
しかし少年は自分が注目されている事を利用し、街の広場で声高らかに叫んだ。
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