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〝お前達、街を救いたいのなら家にある武器でも骨董品でも何でもいいからここへ持って来い。超有能鑑定士であるこの俺様が傭兵を雇う為の金に換えてやる!〟
当然最初は誰も彼の言ったことを信用しない。
だが、貧困の苦しさが限界に達した1人の女性が藁をも掴む思いで1枚の陶器を差し出したことで徐々に少年を頼ろうと考える者達が増えて行った。
大量のガラクタが広場に集まった後、少年はその中から獅子の紋様が刻まれたナイフと青い花が描かれた食器皿だけ手に取ると行商人に頼んで馬を借り、東の街へと向かう。
〝金を作って3日後に帰ってくる! 俺様を信じて待ってろ〟
その言葉だけを信じて皆は少年の帰りを待ったが、3日目の夕刻を過ぎても彼は姿を現さず街の者達は誰もがコーネリアの終焉を悟った。
しかしその日の深夜、少年はコーネリアへと帰ってくる。その姿を見た我々は驚いた。
彼の後ろには大陸の中でも1、2を争う屈強さを誇る精鋭の傭兵団が連れられていたからだ。
傭兵というのはその力が強ければ強い程、それに比例して依頼金の額も跳ね上がる。
街の者達は少年に尋ねた。いかにしてあの精鋭部隊を連れてきたのかと。
少年は不敵に笑いながらこう言った。
〝東の街で開催されたオークションに物を売った。その金であいつら雇ったのさ〟とな。
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